HubSpotが提唱するトピッククラスターとは何か、既存のSEO対策と何が違うのか分からないのではないでしょうか?導入するだけの価値があるのか、満足できる効果が得られるのか疑問に感じているのかもしれません。
トピッククラスターモデルは、従来のキーワード選定を重視したコンテンツ制作ではなく、トピックを重視したコンテンツ制作です。HubSpotが提唱し定義化したSEO対策になります。
この記事では、HubSpotが提唱するトピッククラスターモデルをベースに、実際にコンテンツを制作する場合の手順や注意点について解説します。
トピッククラスターモデルとは
トピッククラスターモデルとは、コンテンツをトピッククラスターにまとめて整理する手法です。
トピッククラスターモデルは、以下の3つで構成されます。
- トピッククラスター
- ピラーコンテンツ
- クラスターコンテンツ
それぞれの詳細を解説します。
コンテンツの集合体となるトピッククラスター
トピッククラスターとは、あるトピックに関連するコンテンツの集合体です。イメージとしては、ピラーコンテンツを中心に据えて、クラスターコンテンツが周りを補強する形になります。ピラーコンテンツとクラスターコンテンツに対して、相互に内部リンクを貼っていることが前提の仕組みです
サイトの中にコンテンツを点在させるのではなく集合させることで、読者にとっても、Googleなどの検索エンジンにとっても理解しやすい構造になります。
柱となるピラーコンテンツ
ピラーコンテンツとは、あるトピックの概要を紹介するコンテンツです。まとめ記事・親記事・目次などのイメージすると理解しやすいと思います。
トピックの全体像や概要を把握できるコンテンツで、詳細については書きません。概要を理解したうえで詳細について知りたいという読者のために、詳細な内容が書かれたクラスターコンテンツへのリンクを設置します。
検索ボリュームが大きいビッグワードを設定する場合が多いです。
トピックを補強するクラスターコンテンツ
クラスターコンテンツとは、あるトピックについて詳細な内容が書かれたコンテンツです。
ピラーコンテンツと相互リンクを貼ることで、トピックの全体像にもリーチできる仕組みになっています。原則としてクラスターコンテンツ同士では相互リンクは貼りません。
複数のクラスターコンテンツからのリンクが、ピラーコンテンツに集中することで、トピッククラスターの中の主従関係が明確になるからです。
基本的には、検索ボリュームが小さいロングテールキーワードを設定します。
トピッククラスターモデルを導入するメリット
キーワード選定のみを重視した従来のコンテンツ制作と比較した場合の、トピッククラスターモデルを導入するメリットは以下の3つです。
- クローラーの巡回が効率的になる
- コンテンツの主従関係が明確になる
- コンテンツの重複を回避できる
それぞれのメリットについて解説します。
クローラーの巡回が効率的になる
トピッククラスター構造の場合は、クローラーの回遊が効率良く行われます。ピラーコンテンツとクラスターコンテンツに相互リンクが張られていることにより、サイトにクローラーが巡回する際に、それぞれのコンテンツに回遊してくれることが期待できます。
どの記事にもリンクが張られていない離れ小島のような記事の場合は、クロラーの巡回頻度が低くなるため、コンテンツが正当に評価されない恐れがあります。
コンテンツの主従関係が明確になる
トピッククラスターの内部リンクは、ピラーコンテンツに集中する仕組みなので、コンテンツの主従関係が明確になります。
ピラーコンテンツ1記事に対してクラスターコンテンツが10記事の場合だと、ピラーコンテンツには10本の内部リンクが貼られていますが、それぞれのクラスターコンテンツには1本のリンクしか貼られません。
ピラーコンテンツに内部リンクが集中することで、サイト内でも重要なコンテンツであると認識されます。また、クラスターコンテンツの評価が高ることで、ピラーコンテンツの評価も同時に高くなりやすいです。
コンテンツの重複を回避できる
トピッククラスターでは、ピラーコンテンツに書かれた内容の詳細を、クラスターコンテンツで解説する構造です。コンテンツが重複しづらい構造になっています。
キーワード選定だけを重視し、コンテンツを量産すると似たような内容のコンテンツが多くなりがちです。それぞれのコンテンツで、同じことを繰り返し書かれている場合も考えられます。
よく見かけるのが、「〇〇とは」という解説が複数の記事に書かれているケースです。「○○ メリット」「○○ 特徴」「○○ 事例」などの記事の冒頭に、「〇〇とは」が書かれている場合がよくあります。
クラスターコンテンツの場合は、書く内容が明確なので、コンテンツの重複を回避できます。
トピッククラスターモデルを導入する手順
すでに大量の記事があるサイトに、トピッククラスターモデルを導入する手順を解説します。
トピッククラスターモデルを導入する手順は以下の通りです。
- トピッククラスターの設定
- ピラーコンテンツの選定・作成
- 対応するクラスターコンテンツの分類
- 内部リンクの設置
それぞれの手順について解説します。
トピックの設定
トピッククラスターモデルを導入する場合に初めに考えることは、どのようなトピックをトピッククラスターに設定するのかです。
大きすぎるトピックだと、読者が全体像を掴みづらくなりますし、小さすぎるトピックでは、需要が少ないかもしれません。
例えば、「副業の始め方」というトピックだと、想定されるペルソナが会社員から主婦、学生など多岐に渡り、取り上げるテーマが多くなってしまいます。
「サラリーマンが副業を始める方法」くらいの方が、ターゲットが明確になるので記事の管理がしやすいでしょう。
ピラーコンテンツの選定・作成
設定したトピックの柱になる記事を既存記事の中から選定します。できるだけ情報が網羅的に書かれている記事が望ましいです。ピラーコンテンツに対応する記事がなければ、新規に作成します。
ピラーコンテンツが決定した後には、どのようなキーワードで上位表示を狙うのかの選定が必要です。基本的にはビッグワードをひとつだけ設定することが多いですが、複数のキーワードを設定することもあります。
検索ボリュームが小さいコンテンツや、数行で解決できるような内容については、クラスターコンテンツを作成するのではなく、ピラーコンテンツの中で取り上げる方が効率が良いかもしれません。
対応するクラスターコンテンツの分類
既存記事の中から、設定したトピックに関して詳細な内容が書かれた記事を選定します。ピラーコンテンツの内容を、補足・補強する内容であることが望ましいです。
複数の記事の中で共通するトピックが取り上げられている場合は、記事の統合や削除が必要になる場合があります。
内部リンクの設置
ピラーコンテンツとクラスターコンテンツに内部リンクを設置します。
ピラーコンテンツからクラスターコンテンツへ、そしてクラスターコンテンツからピラーコンテンツへと、相互にリンクを貼ることが重要です。
原則として、内部リンクはトピッククラスター内で完結するように設置します。クラスターコンテンツから他のクラスターコンテンツへとリンクを貼るのは、どうしても必要な場合のみにしましょう。
トピッククラスター導入の注意点
キーワード選定を軸にしたサイト構築が主流となっていますが、トピッククラスターで重視するのは、キーワードではなくトピックです。
キーワードを選定した後にトピックを決定するのではなく、トピックを決定した後に、対応するキーワードはどれが良いのかを検討する必要があります。
「副業をしているサラリーマンが確定申告をする方法を解説する」というトピックのクラスターコンテンツの場合は、「副業 サラリーマン 確定申告」が相応しいだろうと考えるわけです。
「副業 サラリーマン 確定申告」というキーワードで上位表示を狙いたいと考えた後に、どのような記事を書くのかを検討するという流れではありません。
キーワードを軸に考えた場合、「副業をしているサラリーマンが確定申告をする方法を解説する」というトピックの記事がすでにあるのに、「副業 サラリーマン 青色申告」「副業 サラリーマン 白色申告」というキーワードで記事を書くことになり、類似した内容の記事が量産されることになります。
- 「副業 サラリーマン 確定申告」
- 「副業 サラリーマン 青色申告」
- 「副業 サラリーマン 白色申告」
上記のようなキーワードで上位表示を狙いたいと考える場合は、それぞれの検索意図を満たすクラスターコンテンツを作成するか、内容が重複しないようにクラスターコンテンツを個別に作成することが必要です。
トピッククラスターを前提に記事を外注する場合の注意点
キーワードを指定して記事を書かせる場合と、トピッククラスターを前提とした記事を書かせる場合では、記事の作り方が異なります。事前に説明をせずに記事を書かせてしまうと、満足できない内容になるかもしれません。
トピッククラスターを前提とした記事の作成を外注する場合には、以下の3点に注意しておきましょう。
- キーワードを指定して記事を書かせない
- コンテンツを重複させない
- トピッククラスターの全体像を理解させる
どのようなことに注意すべきなのかを解説します。
キーワードを指定して記事を書かせない
記事を外注する場合は、キーワードを指定するのが一般的です。
外注されたライターは、キーワードから読者の検索意図を読み取り、サイトの方向性やトンマナ、レギュレーションなどを考慮したうえで、記事のアウトラインを作成し文章を書くことになります。
しかし、トピッククラスターを前提とした記事の場合は、キーワードから読者の検索意図を読み解く方法では、うまくいかない可能性が高いです。
キーワードを指定して記事を書かせるのではなく、記事のトピックを指定して記事を書かせる必要があります。何を書くのか、書かないことは何かを事前に指定しておくことが重要です。
コンテンツを重複させない
外注ライターに、検索意図が近いキーワードで複数の記事の作成を依頼すると、それぞれの記事の中で同じコンテンツが重複することが多いです。特に、記事の構成段階から依頼する場合に頻発します。
以下のようなキーワードで記事の作成を外注した場合を例に解説します。
- 副業
- 副業とは
- 副業 おすすめ
- 副業 サラリーマン
- 副業 主婦
上記のキーワードをライターに提示した場合、キーワードの検索上位記事を参考にして、記事の構成や内容を決めているライターが多いです。
そして、「副業とは何か」「副業では確定申告が必要か」などの内容を、それぞれの記事に書くでしょう。
トピッククラスターにおいては、上記のようなコンテンツの重複は必要ありません。むしろ、カニバリゼーションを誘発する恐れがあります。
事前に記事の構成を作成しておき、コンテンツの重複が発生しないような取り組みが必要です。構成を作成する余裕がない場合には、少なくともコンテンツの重複を避けるように指示しておきましょう。
トピッククラスターの全体像を理解させる
記事の外注の依頼を受けるライターの多くは、トピッククラスターという概念を知らないと思います。
記事を作成する前にピラーコンテンツや他のクラスターコンテンツに何が書かれているのかを読んでもらい、トピッククラスターの全体像を理解させることが重要です。
まとめ
キーワードを選定し記事を大量に投入する従来の手法では、検索上位表示が難しくなっています。
ドメインパワーの強いサイトであれば、従来の手法でも上位表示は可能です。しかし、小・中規模サイトや新規にサイトを立ち上げる場合は厳しい戦いになるでしょう。
トピッククラスターモデルの概念は、「弱者の理論」とも言われています。
ひとつのキーワードに対してひとつの記事で挑むのではなく、複数の記事の総力戦で挑むのがトピッククラスターモデルの強みです。
やみくもに記事を大量生産するより、入念な計画の上でサイトを構築する方が、効果が高くなるでしょう。
大量の記事があるのに上位表示できている記事が少なく、成果が得られていないのであれば、トピッククラスターモデルの導入をおすすめします。